2015/08/23

模様替えを終えて

模様替えを終えて新年を迎えた
新年を迎えるたびに 一茶の句を思い浮かべるようになってどのくらい経つだろうか
俳句は心象の流れをピンで刺しぬいたような爽快感がある
五七調とは不思議なものだ
新年早々実家に帰って部屋にこもって本読むのも気が引けて よくテレビを見た
兄夫婦の所で録画してあったプライドを見て笑ってしまった
"煩悩を超えた本能!" 誰のことを言ったか覚えていないが 未だに古館のままだ
形式はそのままに表層だけが過激に進化し また循環していく
成熟と爛熟あるいは衰退?
熱狂している人達を眺めながら ローマの"飴と鞭"について思いを寄せた
テレビは無料でこの熱狂を提供してくれるが そのコストは消費者が担う
消費者と視聴者の裏面性の差異に利潤が生まれる 
そしてそのコストは両者が担う さらに彼は生産者かも知れない
しかし また彼は確実に納税者でもある
小学生のとき友人と映画を見に行ったとき 初めて自分でお金を払った
家に帰ってテレビを見ながら不思議に思った事を覚えている
と言ってもその映画のあるシーンとセットになって鮮明に思い出せるのだけれど
それは騎士とその友人たちが数々の困難を乗り越えて聖杯を手に入れ
王国に平和をもたらすという とアーサー王と円卓の騎士にセント・ジョージの竜退治を
エピソードとして取り入れた物語だった
竜が騎士に切りつけられ腕が落ちたときの肉の断面が その日の夕飯のおかずだった
トンカツを切った断面とそっくりだったので手をつけられなかった
それからしばらく肉を食べられなくなったからだ
テレビを見ながら映画と比べてすばらしい仕組みだと思った
それからしばらくして ぼくは映画を擁護する立場になったが 時代は進んで
映像の視聴の方法とその仕組みも分化して変わり 受益と負担と言うような利潤の源泉は
単純な説明の範囲を超えてしまっている
いまやこの仕組みを深く疑わずにはいられない
地上・衛星波/各種ケーブル等々視聴者の差異の数を増やすことで その利潤と富は
部分の総和を越ええたのだろうか
そしてそれら一つ一つの楽しみは ぼくらの幸福にいかに蓄積しうるのか
またその個々のインフラストラクチュアーを担っていく富の源泉は見出せるのだろうか
1月書籍紹介
ダ・ヴィンチ・コード 上下 ダン・ブラウン (著), 越前 敏弥 (翻訳)
『イエスの墓』や『レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説 』などを
読んでいたせいかしばらく読まずにいたが つい蔦屋の書籍コナーでふらっと
買ってしまった
どうもハリウッド的なプロットとストーリー展開でやはり好きになれなかった
どうもこのてのものでは『バラの名前』を超えるものはないようだ
かと言ってエーコは『フーコーの振り子』ではさほど小説として成功していないと思うし
『前日島』にいたっては『ご冗談でしょう ファインマンさん』を見習って欲しい
R・ルーセルの『アフリカの印象』のように誰もその知識に気づかずに読んでいるのでは
ないのだから解説本など書かないで欲しいものだ
話が外れてしまった
フランスには長らく"ローマの長女"としての自負があってこのような伝説がある
また 神聖ローマ帝国の開祖としてカトリック教会はメロヴィング朝に負うところも多い
上記の2冊を既に読まれている方はP・クロソフスキーの『バフォメット』などはどうだろうか
珈琲相場師 ハヤカワ・ミステリ文庫 デイヴィッド・リス (著), 松下 祥子 (翻訳)
半身 創元推理文庫 サラ ウォーターズ (著), Sarah Waters (原著), 中村 有希 (翻訳)
上の『ダ・ヴィンチ・コード』と同じように正月の団欒の邪魔にならないものを選んだ
『半身』のサラ・ウォーターズは『氷の家』や『女彫刻家』ミネット ウォルターズと
名前を間違って姉妹かと思って興味を持ったので買ってみた 失敗した
これはイギリスらしいがぼくのミステリーの範疇からは外れるので時間を損してしまった
『珈琲相場師』はなかなか面白く 久しぶりに好きなタイプの女性に会った
できれば最後まで彼女にはドロンジョのように振舞って欲しかったが
最近は何だか近未来ものより近世の方が多いようだ
近世と言う言い方は日本史的なのかもしれないが
そうだ これについて考えも面白いかもしれない
近代とは呼ぶが近世とは世界史においてはそのようにまとめた範疇はない
そのような意味で明治以降の視点に異議を唱えられておられた 網野善彦の仕事は
大切にしなければと思う 昨年2月惜しくも亡くなられた
近未来ものより近世の方が好まれるのか 日本史的な近世と呼ぶ事については
史的解釈に共通の視的構造とそのイデオロギーがあると思うけれども 
ここで云々する事は差し控えたい
いずれF・ブローデルについて語る事があると思うからだ
この近世ものでは『五輪の薔薇』C・パリサーや『ジョン・ランブリエールの辞書』
L・ノーフォークのような大英帝国的な大著よりも『魔女は夜ささやく』の
ロバート・R・マキャモンの方が好きだ
最後の努力 ローマ人の物語 13 塩野 七生 (著)
原因はこの本だ
毎年年末に出るこの本を今年はアマゾンで買わないと決めていた
と言うのは年を越して他の本と一緒にまとめて配達されるからだ
村上春樹の新刊『アフターダーク』も予約していたにもかかわらず ずいぶん遅れて配達された
年の初めに『ローマ人の物語』を読むのが恒例に成っている人も多いと思う
で蔦屋で他の余計なものを買ってしまった
で 『ゲルマンとの方へ』は先延ばしになってしまった
脱商品化の時代―アメリカン・パワーの衰退と来るべき世界
イマニュエル ウォーラーステイン (著), Immanuel Wallerstein (原著), 山下 範久 (翻訳)
学生のときに未解決のままにしてある事柄に久しぶりに触れて嬉しかった
ぼくらが普通に用いている"社会""発展"という社会学系の用語について抱いていた
気持ちの悪さを明確に指し示してあって嬉しかった
また 語られる用語にある程度の知識を要するので読解するのと同じように楽しかった
なかでも第1次・2次世界大戦をドイツ対アメリカ30年戦争という捉え方は
まさにブローデル的だと思う 
ウォーラーステインは時事評のようなものを時折発表しているが 今後コンドラチェフ波動の
B局面において彼のなかでは中国経済がどのような振る舞いをすると予想しているのだろうか
今年はカトリックとグノーシス 井筒俊彦の著作(イスラム)とプロテスタントへ
それからまた地中海へと戻ろうと思っていたが
ウォーラーステインを挿入しなければならなくなった いづれにしてもブローデルだ